喫茶ランドリーとグランドレベル 〜「行って戻る場所」のつくりかた

cafelaundry

「喫茶ランドリー」というところに行ってきた。
「家事とコミュニティ」というあたりをキーワードにした「ランドリーカフェ」というものが世界的に増えているそうで、その流れの日本での先駆例。カフェとコインランドリーが併設されていてミシンなども備えている。普通のカフェやランドリーとしての利用はもちろんのこと、それらを使用したワークショップなんかもやっている。
それともう一つ、運営会社である株式会社グランドレベルの田中元子(@hanamotoko)さんの「グランドレベル」(社名ママ!)という考え方を実践する場所ということなんだと思う。「グランドレベル」については田中さんの『マイパブリックとグランドレベル ─今日からはじめるまちづくり』という本に詳しい。喫茶ランドリーに置いてあったのを熟読してしまった(平日昼間に居座ってごめんなさい!あとで、電書版を買いました!!)ので、今回はその本から私なりに読み取れたことについて。

マイパブリック〜自家製公共と趣味

本は大きく二部構成になっていて、前半は「マイパブリック」編。この言葉自体は田中さんの造語だそうで、本の中では「自家製公共」という言い方もしていた。
「公共」というと行政が税金をつかって行うことという理解が普通だけど、個人が自分の考えや私財をつかって「公」の役に立つことをやったっていいじゃないかというのが主な考え方。私がいいなと思ったのは、そのことを「趣味」と対応付けているところ。趣味というと個人が勝手にやっていてお金にもならない役に立たないことというようなどちらかというとネガティブなイメージがあるけど、「それならそれでもいいじゃん!」ということだと思う。個人が勝手にやっていることでも少なくとも本人がそれで前向きにできるならそれでいいし、さらに周りを巻き込んでみんなでポジティブになれる可能性だってある。以前、私がシブヤ大学という市民大学のNPOを手伝っていた時、近い意味で「じぶんごと」という言葉が使われていたことを思い出した。まず、すくなくとも自分自身が前向きにならないことにはなにも始まらないのだから、そのことを前向きに捉えてもいいじゃないか、という考えにはすごく共感する。

グランドレベル〜共通部分、行って戻る場所

後半は田中さんの社名でもある「グランドレベル」という話。
これは、ヨーロッパなどに行った時にビルのエレベーターに乗って「1」のボタンを押すと日本で言うところの「2階」に着き、出入り口のある「1階」に行く時は「ground floor(グランドフロア)」のボタンを押すというときの「グランド」のレベル(階)のこと。平たく言うと「グランドレベル=建物の1階」ということ。みんながこのグランドレベルを外向きに開いて「半分公共」のような場所にしていく(前半で語られた「マイパブリック」が機能する場所ということでもあると思う)ことで、街が活き活きとしていくんじゃないか、というのが田中さんの考え方。
この言葉を聞いて私は別のことを思い出した。学生時代に電子回路設計をかじっていたときに聞いた「グランド」という言葉について。[参考リンク:始める電子回路 > グランドのなぞ]

電気的にはプラスマイナスの「マイナス(-)極」のことを、電子回路を設計したり図面を引いたりするときは「グランド(GND)」と呼ぶという話。聞いたときは単に「呼び方」の問題だと理解して納得した気になっていた。なのだけど、実はこれって、回路上の機能や部品が「共有する場所」とか、回路の電気の流れが「戻っていく場所」というような意味なんだな。田中さんの言う建物の「グランドレベル」も、街という視点から見たらそれぞれのビルとか建物が機能や役割を「共有する場所」とか「戻る場所」とか捉えることもできるんじゃないだろうか。公共のデザインの基本として「グランドレベル」が大事だということと、回路基板設計の基礎として「グランドをどこに置くか」が大事だということは、呼応している気がする。
英語的なニュアンスをきちんと理解していなかったけど、「グランド」ってそもそもそういう言葉だったのか、ということを妙に納得した。

まとめ

田中さんは建築の人なので建物とか都市とかいう視点から「グランドレベル」を考えていると思うけど、私としては「物語の構造」みたいなこととしても見えてきそうな気がした。街に暮らすいろいろな人たちにとっての「物語」が始まる場所、それがグランドレベルなんじゃないだろうか。大塚英志の『ストーリーメーカー』によると物語というのは「行って戻る構造」を持っているそうだけど、そのことと「戻る場所」としてのグランドレベルは対応している気がする。
このあたりはとても気になることなので、また改めて考えてみる。

コメントを残す